ふたりで見つけた季節は今も、甘くほろ苦く溶ける。
ずっと忘れられなかったあなたは、すべてを忘れて私の前に現れた。
思い出さないで、思い出させないで、どうか。
「守りたい」が、私の生き方。
魔獣が人々の生活を脅かす世界で、ヒーローとして活動するアマネ。
ある青年を助けたことで、そのあり方は次第に変わり始めていく。
『ヒーローじゃない』完結しました!
世界の終わりは、甘かった。
小惑星群の衝突が迫り、他の惑星への移住を迫られる。
いつもアイスを買いに来るあの人はどうするのだろう。
掴めなくとも、同じでなくとも、その色彩に何度でも挑もう。
写真があって、大好きな人たちがいて、みんなには内緒の、小さな特別もたしかにあった。
ラズベリージャムより濃い赤が、あの日からレンズ越しにちらついている。
互いに温め合う日を、今日もそれぞれ想う。
東京と大阪、遠距離恋愛。
会う前日は彼女、当日は彼の目から綴られる、穏やかな時間。
今このときを、どこまでもふたりで走れ。
学校には内緒のチャリ通、自慢の親友を乗せてフードコートへ。
いつも通りの日々の中で、夏は始まったのだと思っていた。
かたちを変えて、流れて、その先に見える姿を。
教え子の死をきっかけに、夏の貴船を訪れた私を待ち受けていた、水の気配。
向こう側に見えた光に、手を伸ばすことが許されるなら。
この庭は、私を包むうつくしい世界の膜だ。
誰も入らないで、私はここでじっとしているから。
もうしばらくここで、滴る雨を眺めていたい。
さらさらと降る雨、珈琲豆を挽く音と香り。
水面に落ちた雫のように、私にかけられる声。
張りつめた言い訳も、君の寝ぐせの前では意味を為さない。
悪友と飲んだくれた帰り道。
スマホのトークアプリにすら年の差を感じてしまう彼との出会いは、ちょうど1年前。
背中を押すのさえ、あなた。
音色でわかってしまう、彼の存在。
このドアを開ける手は、少しだけ躊躇っている。
私達はいつもぼやけた輪郭をなぞり、届かないものに手を伸ばす。
何度繰り返しても、触れそうで触れない唇。
それを笑って聞く、あなたの視線の先。
あなたのいない今日が、私の初めての投稿になる。
好きだった彼のSNSに上がった、新婚旅行匂わせ写真。
海の景色ごと放り投げたスマホに、見飽きた地元の海への誘いが入った。
優しさは、自分勝手な甘さなのかもしれない。
愛されている、なのにどこか噛み合わない。そうして私はひとり、甘いわっかにかじりつく。
胡乱な月灯りの下、私はもう一度あなたに出会う。
社会人3年目、冴えない日々を送る私は霧の立ち込めた帰り道を歩いていた。気がつくとその手に、ぞっとするほど冷たい何かが触れて……
少女たちのきらめきに、すてきなものと少しの毒を。
あんずとなつめ、ふたりだけの演劇部の最終公演。演目はもちろん、決まっている。
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